わらしべ長者
アジが釣れているという情報をもとに、いそいそと出かける。
イカ釣りも楽しいが、アジ釣りは大きなウキが一瞬で海に
吸い込まれるのを見るのが、こ・と・の・ほ・か楽しい。
まだ朝早い時間であったが、さすがにエサ屋さんは開いていた。
オキアミブロックを200円で購入し、近場のテトラポットに向かう。
「アジのお刺身。久し振りやなぁ…。いや。握りにしても…。」
釣る前から調理に思いを馳せる単細胞ではある。
さて、アジ用の長い竿に浮動ウキとサビキをセットし、沖へと
投げ入れた。
すぐに反応があったのは、エサ取りの外道であるスズメダイ
の幼魚。
「キミたちはあっちに行ってなさいね。子供のくる場所じゃない。」
などとたしなめつつ海へと返す。
3度目に投げ入れたとき、蛍光オレンジのウキが勢いよく海中
へと引き込まれた。
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まぎれもなく本命のあたりだと確信し、ゆっくりとリールを巻くが
こ・と・の・ほ・か重い。
ひょっとして一荷かな?
釣り用語で2匹一度に釣れるのを一荷(いっか)と呼ぶ。
おそらく、振り分け荷物がその語源であろう。
だんだんと近づいてはくるものの強烈な締め込みである。
耐えてこらえて味わって…。
そろそろ銀鱗がぼんやりと見えてくるはず…。
ところが、海中に見えてきたウキの少し先に黒っぽい魚影。
「ヒラメや!」
どうりで激しいファイトをするはずだ。
竿が折れそうだったので道糸を手に取り慎重にテトラに
引きずり上げた。
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・
すぐさま腰に携帯したナイフで活け締めにする。
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なぜサビキ仕掛けでヒラメが釣れたのか?
海の中では、ちょっとした事件が起こったようである。
サビキ仕掛けに掛かったアジを食べに来たのだろう。
マンガのような食物連鎖である。
さしずめわらしべ長者といったところか。
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体調40cm。健康状態・優。
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左ヒラメに右カレイ。よく言われる見分け方ですね。
実はそのお口を見れば一目瞭然。
カレイは小さなエサしか食べないのでおちょぼ口なのに対し、
ヒラメは小魚を捕食するフィッシュイーターゆえ「ワシなんでも
食べますけん。」とばかりに凶暴な口なのだ。
「親をにらむとヒラメになるよ。」
ほら。
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さて、釣ったはいいもののプロの料理人でさえ面倒がるほど
ヒラメは捌きにくい。
釣り人は手におえず塩焼きにしてしまう人も多いが、そこは
私の愛用する名刀村雨くんの出番である。
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抜群の切れ味に物を言わせ、たちどころに5枚におろす。
えんがわも別々に切り分けたもののツマが無い。
冷蔵庫を物色するも、大根も大葉も無い。
「しょうがないなぁ…。」
生姜はあったけど。
まあ、見栄えはともかく辛口の日本酒だけは外せまいと
奔走する単細胞であった。
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