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2008年9月30日 (火)

酔いどれ天使

「悪しき習慣は心の錆びなり。」

毎度のことで、とことん酔っ払って深夜に目覚める。

暗闇に目が慣れると、リビングの定位置で倒れていたようだ。

反射的にアゴに手をやると、伸びたヒゲの感触から、入浴前に

倒れた事実を知る。

「またやってしまった…。」

僅かな反省の心さえも希薄になった近頃では、そのひとりごと

にさえ、どこか他人事の気配が漂う。

「とりあえず、風呂に入るべ。」と起き上がろうとした時点で、

全裸である自分に気が付く。

随分と昔のことに思える記憶を辿ってみると、断片的に思い出した。

酔っ払った状態でTVを眺めながら歯磨きをしていた私。

フローリングにポタポタと白い泡をこぼす私を鬼のように咎める

ワイフの声。

タオルで拭いながらも叱り続けていたようだ。

無意識のうちに洗面所で口をすすぎ、その流れのまま入浴すべく、

トランクスを洗濯カゴへ。

ところが何を血迷ったか、再びリビングに座り込む私。

煙草を一本取り出そうとしたところで事切れた状態であったようだ。

倒れたあとで、さすがに見かねたワイフが股間にタオルを

掛けてくれた行為に対して、「あ。…ありがとう。」と。

「な…なにがありがとう。よ。…。」

彼女が泣きながら視界から消えたあとの記憶はない。

KO負けの4回戦ボーイ。

数時間前の、やるせない過去を思い出して肩を落せば、携帯

電話が着信メールありのランプを点滅させているのに気付く。

「誰ぢゃ?」

画面をスクロールすれば、長女よりの着信が一件。

添付された写真は、数時間前の全裸の私であった。

題名は「中年ダビデ像」。

うぉぬぅおれっ!ふざけやがって!

憤懣やる方の無い私は、ただちに返信を返した。

「言わせておけば、くぬやるぅおうっ!覚えてらっしゃいっ!」

さすがに、その夜から自主的に禁酒して、やっと5日目。

ところが今宵はプロジェクトの打ち上げに誘われている。

意識のあるうちに自宅に辿りつければ御の字であるが、

今度はトイレでロダンの彫像のように眠っているところを

激写されぬよう、注意が必要である。

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2008年9月24日 (水)

メールヲゴランクダサイ。

鉄工所に打ち合わせに向かう車中で、ポケットの携帯が

振動した。

合成録音の女性の声で「メールヲゴランクダサイ。」

声の感じからしてお育ちのよさそうな、年の頃でいえば30代

半ばくらいであろうか。

落ち着いたその物腰から、すでに人の妻であるだろうことも想像に

難くない。

私は愛着を持って彼女に「ユウコ」と名付けている。

ユウコの指示に従い、メールをチェックしてみると、差出人は

長女であった。

「 受かったよ(・∀・)  4002 」と表示され写真が添付される。

Image008000

返す刀で「 らじゃぁ。(笑) 」と打ち込んだ。

男は顔文字なんて使わない。

おっとりと帰ってきた彼女に真新しい免許証を見せてもらう。

もし彼女が犯罪を犯せばニュースの画面に表示されそうな

凶暴な風貌で、それは仕上がっていた。

まあ、私自身のそれも自殺系サイトで次々に女性を殺めそうな

風貌に仕上がってはいる。

夕方、日のあるうちにマッハ号を運転させてみた。

うぅっ。助手席というのは、かくも違和感のあるものなのか。

無意識に、あるはずのないブレーキを踏んでしまう。

カーブの大回りやコース取りのこと等、細かなダメ出しをしながら

なんとか自宅に辿り着いた頃には、深く深く安堵の溜め息

を漏らした。

そんな私を見透かしたかのようにポケットが振動する。

「オデンワデス・オデンワデス・オデンワデス…」

ユウコリンの呼びかけにサブディスプレーを確認してみると、

そこには鉄工所の屋号がカタカナで浮かんでいた。

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2008年9月 8日 (月)

はいっ!チ~ズッ!

先日、現場ついでに立ち寄った港で待望の秋イカが釣れた。

Dcf_0002

ここのところパスタのことばかり考えていた単細胞の私は

即座に調理法を断定した。

新鮮なアオリイカを利用した「いか墨スパゲティー」である。

沢山釣れた中から三杯選び解凍しておく。

すでに何百匹という獲物を捌いてきた我が身には、片目で

ケンケン、目でコンコ(硬い漬物の意)である。

胴体をズボ抜きにしてゲソの目玉とくちばしを取り除く。

この目の少し上のコリコリと硬い食感の組織には特定の

情緒ある呼び名が冠される。

なんだっけか?…蟻の門渡り?否。

あのねぇ。moukun。キミの「言葉の抽斗」は常に変なところ

が開きっぱなしになってるから注意するように!

お願いしますよ。ったくもう…。

あ!そうそう。「殿様知らず」であった。

由来は…もう説明せずともおわかりでしょうよ。

いや…アリの方ぢゃなくって…。

Dcf_0003

三杯のイカのうち一杯だけは刺身へと捌き終えると

和食料理人からイタリアンシェフへと変身する。

「ざ・りっつ・かーるとん」とひらがな表記されたエプロンと

白くて長い帽子を纏うと再び厨房へ。

基本のアリオ・オリオにイカを投入後、さっと炒めて取り出す。

加熱しすぎると肉質が硬くなる。

少しオリーブオイルを追加して玉ねぎみじん切りを炒める。

ホールトマトといか墨を溶いた白ワインを投入すると中火に。

最期に取り出したイカを戻して、茹であがったスパゲティーに

からめる。

Dcf_0004

スクイッド・インクを利用したパスタは、グロテスクな見た目を

見事に裏切り、ことのほか美味しく出来上がった。

家族にも大好評であった。

んが。

食後に宅急便でもきたら誰が対応するのか気がかり

なほどのお歯黒状態。

「わらわは、ちと無理でおじゃるぞよ。」なんて。

もうひとつの気がかりを翌朝トイレで確かめると全然問題

なかった。

結論として「夜のパスタ」と言えるようだ。

なんのこっちゃ。

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