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2008年6月28日 (土)

どっちの料理ショー

バイオ燃料の原料として白羽の矢が立った穀類の値段

も軒並み高騰している。

日本古来の第一次産業から目を背け、欧米型に追随

した、そのしっぺ返しに日本丸は沈没寸前である。

己を知れ。ということに落ち着くものの、それは私自身

とて同じこと。

「想い起せば恥ずかしきことの数々。」

所謂、生き恥である。

…さて。堅苦しい話はとりあえず置いておいて…。

本日の対決は「とうもろこし対決」である。

最近では品種改良によりスゥィーツな品種が出回って

いるものの、木春パパの年代では昔ながらの少し赤味

のある硬い実の種類が好みであるという。

私のような軟弱者からすれば「え?種に使うの?」という

ほど硬い実ではあるが、噛むほどに味わいが増すのも

知っている。

海岸端で少年期を過ごした木春パパの歯並びは、齢70

にも達して現役バリバリである。

硬いもの噛めよ。歯を磨けよ。PCの前で寝るなよ。諸君!

「にやけ」チームと「咳き込み」チームがそれぞれに

用意したのは生産者名の入った国産とうもろこし。

今回は新しいほうの品種である。

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「にやけ」チームは定番の醤油焼き。

特選素材として小豆島(あずきじまぢゃ無いよ。瀬戸内に

浮かぶ二十四の瞳の舞台だよ。)産の特選醤油を。

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焦げた香りが、また素晴らしい。

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対する「咳き込み」チームは…。!なんたる暴挙か!?

なんと「そのまんま焼き」である。

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いいのか?これで?

「今夜のご注文は…どっち?!」

ゲストに来てくださった宮崎県知事がハゲしく後者を

指示してくれた。

皮を残すことによる蒸し焼き効果で、素材の甘味が

「そのまんま」に活かされているのであった。

茹で上げた以上の甘さを誇る。

ところが。

絶賛いただいたのも束の間。

食べ終えると、こともあろうか全てを否定するかのように

「歯のスキマに皮が挟まるのを、どげんかせんといかん。」

ですって。

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2008年6月23日 (月)

降水確率90%

土曜日は終日、工場の中の現場で、ボロ雑巾のように

疲れ果てて事務所に戻ると携帯にメールが着信。

「無理ですねcryingrain90%っす」

金曜日に若手一号君がひょっこりと事務所を訪れ、新しい

釣竿を買ったので、もし日曜日が晴れなら釣りに行こうと

しきりに誘われていたのであった。

「道具じゃないのよ。ここよ。」

と言いつつ右の腕を叩いておいた。

「日曜は雨か…。」

気象庁のページで確認すると確かに90%となっていた。

気が付けば日曜日の朝になっている。

どうやらパンツ一丁の姿で事務所で寝てしまったようだ。

「ああ。ただれた生活。」

壁の時計を見るとちょうど4時をまわったところであった。

土曜日が夏至とあって、すでに夜は白みはじめている。

無意識のうちに釣竿を積み込んだ車のハンドルを握って

いる自分に気づいた。

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暗雲はたれこめているものの雨粒は落ちてこない。

最初のポイントはさっさと見切りをつけて海岸沿いに

移動する。

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このあたりの漁船が黄色に塗られている理由を耳にした。

はるか広島のあたりまで密漁に行く船団に、保安庁が

漁港を封鎖する事態に。

密漁というと聞こえが悪いが実際は「板こぎ」といわれる

禁止漁法である。

農家が沢山収穫するのは褒められるけれど漁業の場合

限られた資源ということもあり制約が多いようである。

結局、話し合いの末、禁止漁具の廃止と船を黄色に塗る

ことにより和解したとのこと。

なんにせよ生計を維持することは大変である。

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依然、雲は低くたれこめ、ビキニのお姉さんも歩いてない。

そうそう。お姉さんが目当てではなかったのであった。

はい。一丁あがり。

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釣れた瞬間に携帯にメールが着信。

「釣れますか?」

私の単独釣行を敏感に察知した木春くんであった。

「いま釣れた。」

「でかい?」

「300gくらい。○○にて。」

さすがにそろそろ降ってきそうだったので帰路につく。

車に戻ると、釣れたイカの写真を添付して若手一号君に

嫌がらせのメールを発信する。

「降水確率90%とは、10%は降らないってぇこった。」

返信ももどかしかったのであろう、返す刀で電話が鳴る。

ひとしきり悔しがる若手一号君であった。

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2008年6月20日 (金)

裏町哀歌

昨夜9時頃に携帯が鳴った。

雨宮先輩のようにドスの効いた声で「誰だっ!」と

出てみたかったがサブディスプレーには得意先の

社長の名前が表示されている。

「あ。ども。お世話になります。」

「もう飲んだか?」

「ええ。そりゃもうすっかりと。へへっ。」

「飲んだかぁ~。なら明日にするか…。呂律も怪しいし。」

という訳で早朝に引っ張り出されたのは寂れた繁華街の

もう一本裏手にある、さらにうらぶれた通りであった。

夜の闇に紛れているぶんには、それなりの体裁を繕って

いるものの、お天道様にさらされる日中は、見るに忍びない

哀感を漂わせている。

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簡単な作業の見積依頼ではあったが、打ち合わせを終え

て社長の車が去るのを見届けると、しばらくぼんやりと

周囲を見回してみた。

いまどきはキャバクラ風のお店が多い。

近頃の若い娘は薄っぺらくって大嫌いだ。

やはり女性においては酸いも甘いも噛み分ける能力の

ある方とお話がしたい。

なぜなら、心で恋をするお年頃なのである。

ビルの壁に張り付いた看板の店名を下から順に見るとは

なしに眺めていると、唐突に一人の女性を思い出した。

10代の頃からお世話になったスナックに常駐していた

同い年のTちゃんである。

華奢な身体によく笑う笑顔、なにより目配せで理解できる

ほどに聡明な女性だった。

男子の理想に近い美人ママには、たまにしか逢えなかった

ので、ほとんどTちゃんとの会話を楽しみに通ったものだ。

素顔の美しい女性だった。

心根も美しかった彼女は、風の便りに瀬戸内海に浮かぶ

小島に嫁いだと聞いた。

風の便りといえば首藤奈知子アナも結婚したという。

今夜は…飲む。

もとい。今夜も…飲む。

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2008年6月19日 (木)

まつちかタウン

尾張名古屋はト○タでもつ。のごとく、地元優良企業の

周辺を取り巻くように発展するのが地方都市の性である。

こちらで特化しているのが私鉄を独占している伊予○道。

沿革をたどれば、その我田引水的な利権の乱用ぶりは、

現状をもってしかるべしであるものの、あまり無駄口を

叩いていると、この街をはじきだされるやもしれぬ。

実力を伴わないものは大人しく、気づいてないフリが賢明。

さて、そんな利権の絡んだ街の中心部、伊予○道松山市駅

付近での作業であった。

コンビニの改装に伴い、今日中に作業を終えてくれ、との

お達しにより敏腕職人のH氏に、ご同行いただく。

あいにくの雨模様であったものの、H氏との連携プレーに

より順調に作業は進んだ。

「お昼はラーメンステーションに行きませんか?」

私の思いつきに「そう思ってたところですよ。」と快い返事。

かくして「腰道具」から解放された二人は、すぐそばに開口

された階段へ。

地下鉄入口ばりに設えられた階段は中央の商店街と、

伊予○高島屋とを結ぶ地下街「まつちか」へと続く。

私が子供の頃には隆盛を極めたこの付近も、不況と

ともに精彩を欠いていたところ、数年前に全国の有名な

ラーメン店を集結した「ラーメンステーション」なる企画で

急場を凌いでいたようであった。

付和雷同と人ごみが大嫌いな私は、そろそろ閑古鳥が

鳴いている頃だろうと見当をつけた訳である。

♪かっこ~。かっこ~。

見事に閑古鳥が鳴いていた。

札幌・旭川・博多・徳島・久留米…。

当初はもっと出店してたんじゃなかったかなぁ?

まぁまぁ。自然淘汰されたとすれば、人気店だけが残って

いるのであろう。

くるしゅうない、おもてをあげぃっ。よきにはからうぞよ。

「どこにしますかねぇ?」

H氏の問いかけに、縮れ麺が食べたかった私は迷わず

「札幌にしましょう。」と胸を張って答えた。

店長いちおしと銘打っていただけあって「海老そば」の

スープは格別であった。

先日、佐賀の店で出て来た、お袋に叱られそうなギトギト

スープとは雲泥の差。

(違うよ。たまたま私の行ったお店がそうだったの!)

一緒に注文したライスを、残りのスープにぶち込みたかった

が、出が貧しいのがバレるのを恐れて、上品ぶって交互に

食べ終えた。

ご多分に漏れず「店内禁煙」となっている店を離れて、

「うるおいの泉」という名の出会い系の待ち合わせ場所の

ようなところで一服つける。

発案者は、およそ「トレビの泉」あたりが脳裏をよぎったので

あろうが…みなまで言うな…。

紫煙の向こう側に懐かしい日々が蘇る。

「誰かガンつけてくれないかねぇ?」などといきがって

肩で風を切った少年。

全員が満腹になった時点で「おい…もう一杯食べてええか?」

と真顔でカレーを追加注文する先輩。

過ぎ去った笑い話が、あちこちに転がる街である。

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2008年6月15日 (日)

雨の日も晴れ男

雨の中、仕方なく納期のない現場仕事をしていると

背後から「まいど。」と声が掛かる。

振り向けば、作業中のビルの1Fテナントに衣料店を

構えるマスターであった。

先日、簡単な作業依頼をいただいてから人懐っこく声を

かけてくれる。

「コーヒー入れるから奥へおいで。」

うながされるまま作業を中断して衣料店奥の事務室へ。

コーヒーポットが沸点に達するまでの手持ち無沙汰で、

キョロキョロと店内を見回すと一枚の白黒写真が目に

止まった。

「これ、マスターですか?網走刑務所?北海道ですか!」

「ああ。学生の時にね。」

どうやら、その一言がマスターの回顧録に火をつけて

しまったようである。

K大出身で二期後輩に元ジャイアンツのN氏がいたこと。

周遊券と現金9800円を握って駅のホームを泊まり続けた

北海道一人旅。

愛媛の文字が書かれたテントに声を掛け、ご馳走になった

ボンカレー。

そんな中、腹をすかせて電車の向かいに座った少年に

バナナをわけてもらい、不憫に思ったその子の母に一泊

させていただいた話。

枚挙に暇が無い。

「若い時分はできるだけ無茶しておいたほうがいいですよ

ねぇ。」

自分の作業を再開させるべく、話の腰を折る私の言葉を

無視して尚もマスターの回顧録は続く。

縫製関係で年商何十億の会社を相続したところが、時代

は近隣国への外注生産に流れていき、事業を縮小するも、

多額の負債が残る。

心機一転、手元に残った工場を改装して外食産業に打って

出るも、当初当たった焼肉店は狂牛病のあおりを受ける。

必死でやりくりするも「見込み無し。」と判断するや悪魔の

ごとき銀行は店舗を競売にかける。

「日和に傘貸して、どしゃ降りに取り上げる。」

さすがは大日本帝国の高利貸しではある。

それでも、最後の砦を死守せんと資金繰りしたマスターは、

競売の日に、さらなる局面をむかえる。

リサーチ上、この金額で落札とおぼしき金額より110万円

多い金額でかっさらった野郎がいたという。

110という数字からして情報のリークとしか考えられぬ話

ではあるが、とにかく大人達のやることは汚い。

無一文となったマスターは恥じをかなぐり捨てて旧友に

電話をする。

「返せるあては無いから貸してくれとは言えない。

もし俺に少しでも奢ってやろうという気があれば口座を

メモしてくれ。」

名言であるもののマスターの必死さがうかがえる。

あてにならないのは「ライオンズクラブ」。

羽振りのいい頃には取りまいてちやほやしてた連中は

あからさまに居留守をつかう。

逆にノンバンクからつまむほどに苦労している旧友が

「まだ借りれそうだから。」と送金する。

現在の衣料店は旧来の友人ネットワークに支えられ、

繁盛している様子である。

不義理な銀行を見返してやりたい気持ちと、恩義を受けた

旧友に恩返しをしたい一心で前向きに頑張っておられる。

新しい業務展開の具体策を伺うに、充分、理にかなってる

のでマスターはもう一花咲かせてくれそうである。

打たれても打たれても負けない男の耳は、やはり福耳

の様相を呈していた。

幸せの黄色いリボン

http://jp.youtube.com/watch?v=JBaUqNdm4uE

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2008年6月11日 (水)

きてますっ。

連日、缶詰状態であったビルの改装現場だったが、今日

の作業でようやく一段落したようだ。

昨日までは入口に張り付いて通行者を誘導してくれた

実写版アンパンマンのガードマンも今日は不在だった。

ビル入口エントランス付近は特に狭いので、人の出入

に支障の無きように充分な注意が必要であった。

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ところが作業に没頭すると、ついつい周囲の状況を見失

いがちで、何度も「あっ!ごめんなさい。」の繰り返し。

それでもスレンダーなOL風が通るときには反応が早い。

「あ。どうぞ。ごめんなさいねぇ。」などと鼻の下を伸ばし、

香水の残り香を胸に満たしては後姿にうっとりとする。

「いつまで眺めてるんですか。」

W氏にツッこまれては我に返ることの繰り返し。

へへっ。

やがて作業も終盤に近い頃、一人の老婆がエントランス奥

で立ち往生しているのに気づいた。

彼女の両目を見て、すぐさま「眼の不自由な方」だと察しが

ついたので慌てて脚立を跳ね除け、駆け寄った。

「ご不便おかけします。」と断りつつ彼女の左手を預かって

エスコートする。

「あと二段続きます。…!ん???」

階段の残りを報告する私の右手に「気」が伝わった。

冷たく、少女のように柔らかな掌から確かにエネルギー

のようなものをいただいた。

おそらくは二階のテナントで営業中のマッサージ店舗の

施術者とおぼしき女性は、何度も「ありがとう。」を繰り返し

たが、礼を言うのはこちらである。

不思議なことに右肩の痛みがすっかり取れている。

きっと持ってるよ。あの人。

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2008年6月 4日 (水)

フォーリーブス

朝の散歩でいつもの公園にたどりつく。

と、新緑の葉をふんだんに纏った桜の木の下に

一人の老婆がしゃがみこんでいるのが目に止まった。

「ああ…。おばぁちゃん。少しむこうにトイレがあるのに…。」

一瞬たじろいだものの、そこはお年を召されたとはいえ

相手は女性である。

視界に入らなかったフリをして、そのまま歩を進めた。

ところが遊歩道を進む私の視野ぎりぎりに捕らえられた

老婆は全く動く気配を見せない。

「よもや大きなほうか?!」

胸を締め付けられるような思いとともに再び老婆へと

視線を戻すと、せわしなく両手を動かしていた。

その手元に白いボンボンのような草花を見た瞬間に

合点がいったのである。

それはまぎれもなく「シロツメクサの花」。

そう。老婆は「四葉のクローバー」を探していたのだ。

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理解できた瞬間に温かいものが胸に溢れた。

おそらくは自分のためにではなく、お孫さんか誰かの

幸せを願って一心に四葉を求める乙女心が素敵だ。

物が溢れた昨今、若い世代にはなじみも無いであろう

四葉だが、帰依するところは物より心である。

美しい日本はひょっとすると、さりげなく道端に潜んで

いるのかもしれない。

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