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2008年3月30日 (日)

炭水化物の逆襲

昨夜はやはり現場の追い込みで深夜帰宅となったため、

手付かずの作業をこなそうと食事だけ済ますと一階の

作業場であくせくしているうちに、やはり倒れてしまってた。

決して朝帰りの亭主ではないのだが、二階のリビングで

ワイフに朝の挨拶をするのに気が引ける。

お風呂にも入ってないし、ヒゲも剃ってない。

まあまあ。吉永小百合さんはウ○コをしないって噂も

聞いたし。…関係ないか。

とにかく生活のリズムを乱すとロクなことは無い。

自分なりに決めたマニュアル通りに朝の散歩へ。

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うば桜は、すでに満開であった。

「傘をさす我をあざける濡れ桜」秋光

♪人間なんて…ららーらーららららーらーである。

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「降る花にわびを頂く手水かな」秋光

さて、商業施設の現場を離れた今日は、おあずけにしてた

別件の加工作業が残る。

そんな中、日曜日ゆえ夕飯の支度を振られていたので、

簡単に得意のお好み焼きで済ませてやろうと考えていた。

が、炊飯ジャーには2合程度の白米が残っている。

作戦変更。

おめこじゃなかったおこめを粗末にしてはいけない。

仕事にかまけてコミュニケーション不足だった次女を

プロジェクトに巻き込もうと画策するも、午前中の部活の

疲れから、ハリーポッターのビデオを流したまま白目を

剥いてコタツにおさまっている。

…。

仕方ない。

一階と二階をこまめに往復しながら仕事と調理は同時進行

していく。

どちらも妥協は許さないので、タイミングが難しい。

それでも前向きな気持ちが幸いしたのか、双方共順調に

進んでいった。

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う~ん。細かい薀蓄はあるものの、長くなるので割愛。

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2008年3月23日 (日)

菜種梅雨

連日の大型商業施設の現場は、広すぎてとにかく歩く。

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「目標10万歩ですよ。」と元請けTさんがニコニコ笑って

いたのも頷ける。

おまけにゼネコン指定の安全靴(ゾウが踏んでも壊れない

ように爪先に鋼鉄の入った靴。)を履いているため、足の

疲れは尋常ではない。

近日きっと「薬用バブ」のCMに起用されるはずである。

それは私ひとりの苦悩ではないようで、場内いたるところで

「うっ!」とか「あっ!」とかア行の悲鳴が聞こえてくる。

疲労した足を引きずるように歩いている作業員たちは、

床面の保護のために貼られた養生用ベニアの継ぎ目に

足をとられて、あちこちでもんどりうっているのであった。

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そんな中、今日だけは、以前より約束していたW氏の現場

だったので、ゆったりと朝の散歩へと出かけた。

生憎の春雨ではあったが、セルリアンブルーの傘を片手に

大宝寺へとむかう。

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ハクモクレンは短い花の期を厳かに咲いてくれる。

境内の「うば桜」はすでにほころびはじめていた。

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「楚々と降れ開く蕾を打たぬよう」秋光

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おっと。

そちよ。

風流にひたり過ぎると時間がなくなるぞよ。

確か10時に私の事務所に到着するはずのW氏。

壁の時計を見上げていると携帯が鳴る。

「ちょっと製作が遅れてるんですよぉ。」

慌てて応援に駆けつけるも品物が仕上がったのが2時。

春雨は、あいかわらずひそやかに降りつづけているが、

今日中には現場の格好をつけなければならない様子。

月形半平太ばりに「濡れてまいろう。」なんて、おすまし

して現場に到着するものの…。

ケチがつく現場は最期までケチがつく、業界の法則。

というよりも「マーフィーの法則」の連続で、あまりにも

裏目裏目と困難の目が出続ける現場に、連発していた

バカ笑いも消えうせ、疲労困憊のボロ雑巾状態で現場

を後にした二人であった。

「薬用バブ」もオンエアーを断るくらいに笑顔を失って

しまったものの、なんとか収まったことに安堵した。

雨は今も我関せずと降りつづけている。

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2008年3月18日 (火)

春愁

「お彼岸やからお墓参りくらいしときよ!」

まだしぶとく生きている母親に電話で叱られた。

彼の岸と書いて彼岸。

向こう側のことである。

さすがに、年齢を重ねるほどに向こう側に沢山の恩人が

旅立ったことを痛感する。

つい先日も私個人の歴史に残る人を見送ったばかりだ。

そして、いずれは自分が、その岸を越える日がくるであろう

ことさえも考えないほうがおかしいのである。

不思議なことに、幽霊が怖いなんて思っていたのは幼い

頃のことで、段々と「それ」に会いたくなってくるものだ。

情け自慢のつもりもないが、私には男の子が生まれて

いたはずなのである。

今でも毎日仏壇に弔いを捧げる彼は、生きていれば

17歳の年齢になるのであろう。

キャッチボールもしてみたかった。

殴り合ってもみたかった。

嫌われてさえみたかった。

向こうに行けばやっぱり赤ん坊のままなのだろうか?

うまく扱えるのかなぁ?

もう忘れたよ、赤ん坊。

いかん。酔って記事を書くもんじゃない。

大好きなエリック・クラプトン

ティアーズ・イン・ヘブン

http://www.youtube.com/watch?v=VRsJlAJvOSM&feature=related

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2008年3月16日 (日)

串うち3分

串うち3年、割き8年、焼きは一生。

料理人の間で俗に言われるうなぎのあしらいである。

寿司にしろ何にしろ、こだわりを前面に押し出して、その

ステイタスを上げる傾向に反発を感じたりもする変人の私。

いずれにせよ生身の人間のすることくらい私にだって

できるのである。

親から授かった人としての形が存在するのだから。

なんて。

生意気盛りの43歳は晴れた日曜日の午後に炭を熾す。

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関西では蒸しの工程は無視して(笑えよ…)ひたすら

タレをつけては焼く工程の繰り返し。

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ほら。いいんでないかい?

誰だ?焼き一生なんて素人を寄せ付けないような壁の

呪文を唱える野郎は?

美味しくな~れの呪文を使えば私にだって、この通り。

へっ!どんなもんだい!…。

あ!ごはん炊いてない…。

記事と全然関係ないけど「銀河鉄道999」

http://www.youtube.com/watch?v=b1JlW0eutV4

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丸腰の日

携帯電話を自宅に忘れたまま現場入り。

なんだかそわそわと落ち着かない。

そんなあたいの気持ちも知らずに朝礼が始まる。

作業要員はゆうに1000名は越えているであろう。

とてつもなく広大な敷地面積を誇る巨大商業施設。

テナント数は190店舗を越えるらしい。

必然的に大手ゼネコンが頭となっているため労災関係

及び対外的名目上のマニュアル的な締め付けが多い。

初めて現場に入る人物においては新規入場手続きが

必要とされる。

所定の用紙に住所、氏名、年齢、職業を明記しクイズの

答えを書いてポストに投函しただけではダメ。

それら以外にも緊急連絡先、既往症、平常時血圧、資格、

性格、座右の銘、好きな食べ物、女性の好み、口癖、夢、

お風呂に入ったときにどこから洗うか、カラオケの十八番、

等々…延々と項目が並ぶ。

すべてに記入が終わると、マニュアル通りに安全に纏わる

注意事項が簡潔に解説される。

現場に入る直前に情報として入ってきた問題が二つある。

ひとつは労災が2件立て続けに発生したことにより現場が

神経質になっている旨。

さらにもうひとつは、このご時世、資金繰りに困惑した業者

が作業終了後、何件かドロンするであろうという憶測。

負の要素を背負った状態でも協力せざるをえないのは他

でもない。

かつての相棒、「GT」より協力依頼があったためであった。

剛毅木訥を絵に描いたような男で、寡黙ながらもプラスの

エネルギーを発信している。

2年ほど前に飲食関係を立ち上げ、しばらくそちらに奔走

していた様子だが、軌道に乗ったそちらは実弟に任せて、

再びこちらの業界で旋風を巻き起こそうとしている。

月曜日からの金沢行きの魅惑の現場をキャンセルして、

二つ返事で話に乗った。

男たちのメロディー

http://www.youtube.com/watch?v=x1EEub6IslI&feature=RecentlyWatched&page=1&t=t&f=b

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2008年3月11日 (火)

花粉前線

0.5mmの誤差を気にしながらの作業でひきこもり。

当然、ラジオが相棒となる。

「それにしても最近の曲は心が無いやね。」なんて

いつの世代にも繰り返される戯言をほざく。

いよいよ慎重に作業せねばならぬときに、その曲が

流れた。

いつのまにか私の目は涙でかすみ、手に持つメジャー

が小刻みに震えた。

ラジオのMCが解説するバンド名に耳をそばだてて、

作業を放り出してPCで検索する。

以後、何度もその曲を繰り返しながら作業するも、

身体中の水分が涙に変わる。

誰かが訪ねてきたら、みっともないが幸い今の時期、

「花粉症で。」という言い逃れが通用するのだ。

それでも、これほど流れ落ちたのでは意味を成さない。

かりゆし58「アンマー」

http://www.youtube.com/watch?v=xG9cZ4saLkI

かぶりすぎな過去記事

http://hirata-ad.cocolog-pikara.com/asobi/2006/05/post_ae6b.html

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2008年3月 8日 (土)

「ジャミひとつくださいな。」と言うと、お店のおばちゃんが

いそいそと袋に入れてくれる。

オキアミをブロック状に冷凍した釣り用の撒き餌である。

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いやはやあなどるなかれ、これがウルトラ・バッド・スメル。

少しでも手に付着しようものなら、暫く不快な香りは消えず。

これに海水を汲み入れ解凍をうながす。

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溶けるのを待っている間に仕掛けをセット。

久し振りにアジを狙ってみた今日は長竿に浮動ウキを

セットし、サビキを取り付ける。

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サビキとは数本の枝が出た疑似餌バリのことで、表記に

スキンサビキと書かれているものが多い。

そうそう。

計画性のある大人の人なら常識である「それ」である。

おそらくはエビちゃんの色に似ているからでしょうね。

エビちゃんよ。

100円あってもマックにゃ行くなよ。

敵性食品に被れてたら特攻の青年が泣くよ。

という訳でサビキの下にアミカゴ鉛をセットすればOK。

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手につかぬよう慎重に入れてみてもやっぱりつく。

それにしてもパワフルなバッド・スメルである。

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投げ入れるとしばらくぼんやりとウキを眺めるが、結局

時合い(釣れる時間帯)は夕まづめである。

のんびりと煙草をくゆらせながら景色を眺める。

群衆の中の孤独というものは耐え難いが、自然の中

での孤独は不思議と心なごむものである。

ちっぽけな己を再確認させてくれるからであろう。

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午前中に思いのほか作業が捗ったため、午後から急に

思い立ってふらりと海へ。

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時刻を見ると、まだ4時前であった。

おっと。いけない。

携帯電話にバッド・スメルが付着するではないか。

やばいと思いつつ再び指の匂いを確認してしまう。

こういう自己の心の弱さを、さしずめフロイト先生なら

どのように解釈なさるのであろうか?

「ユーのフィールはアンダスタンドできないよ。」って…。

ルーじゃあるまいし。

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意識は時空の彼方を飛び交い、思いつくままに、

「かもめはかもめ」「釜山港へ帰れ」「銀河鉄道999」

等等を唄っているとウキに反応があった。

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あまりに小さなメバルの稚魚であったため撮影後すぐに

海へと戻した。

その後、同サイズのメバルと10cm程度のアジが2匹しか

釣れなかったので、全てを海へと返し「ブルーライトヨコハマ」

を口ずさんで帰路へと。

最期に再び指の匂いを確認してしまう往生際の悪さ。

不思議と嫌じゃない。

SAS/海

http://www.youtube.com/watch?v=tHTBORE3P9M&feature=RecentlyWatched&page=1&t=t&f=b

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2008年3月 5日 (水)

へのへのmoukun

三寒四温という言葉の意味がすっぽりと腑に落ちる

ようになった今日この頃。

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おそらくこの冬も今朝ほどの寒い朝は終焉を迎えるで

あろうことの予測もつく。

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納期の短い大量受注を捌かせるために徹夜作業を

余儀なくされた経緯から、今後のために外注先を

確保するべく先方の事務所にアポを取り、打ち合わせ

にむかった。

それというのも久し振りに深夜ラジオなどに耳を傾け、

取るに足らない好いた惚れたの話にいつのまにか

感情移入してしまい、挙句の果てには曲のリクエストさえ

してしまいそうになった自分に嫌気がさしたためである。

あたしゃ中学生か?

いくつもの大手企業をクライアントに持つ先方の営業

担当は、年輩の方であった。

約束の時間きっかりに訪れ、名刺交換をすませて応接

セットに座るやいなや、やっこさんの携帯電話が鳴る。

(マナーモードという機能をご存知でしょうか?)

延々と長話を待たされた後、「どうも失礼いたしました。」

(まぁまぁ面をあげられぃ。わらわも少しは大人でござる。)

気を取り直して詳細を説明するも、返ってくるのはトン

チンカンな返事ばかりである。

どうやら素材のことも加工技術のことも皆目知識が

無い様であった。

時間の無駄だと判断すると、相手の面子だけは尊重して

「何か良いプランがあれば、ご助言下さい。」とサンプル

を置いて席を立った。

「どうも、わざわざありがとうございました。」

(いえいえ。どういたしまして。お茶も出ませず。)

さて、ちゃんとした大人を探しにいかねばならない。

「○○ちゃ~ん。やってるぅ~っ?」なんてゴルフの

素振りの真似をするような輩に用は無いのである。

サザンオールスターズ/お願いDJ

http://www.youtube.com/watch?v=KInCC4AQ3Xs

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2008年3月 2日 (日)

俺たちの旅

水曜日に八幡浜という港町の現場に行った。

到着はしたものの、什器の搬入が遅れているため、

作業に着手できない。

すっかりと手持ち豚さんになってぶぅ~ぶぅ~と文句を

いっていても埒はあかず。

責任者に歩み寄り、落ち着いたふりで段取りを打ち

合わせながら目の力を1.5倍に上げてみる。

途端にハエを追うように機敏に上を見上げた様子から

私のテレパシーが脳天に届いたのは確実であった。

「サッサトシヤガレ。イツマデモ…以下放送禁止用語。」

手待ちが私一人なら結構であるが、ご同行いただいた

敏腕職人のH氏に申し訳がないのである。

いずれにしても午後からでないと作業できない様子

のため、一旦現場を離れた。

あてどもなく海を見に行ったり、釣具屋さんをひやかし

たり…。

こんなことなら最初から竿を持ってくればよかったのだ。

「少し早いけどお昼にしましょか?」

私の問いかけに快くうなずくH氏に提案する。

「最近、八幡浜は、ちゃんぽんで町おこしに力を入れて

るから試しに食べてみましょうよ。」

きっぱりと言い切ったものの、どこといって知ったお店が

あるわけでもなかった。

知らないときには聞けばいい。

私は躊躇せず駅前交番に飛び込んでみる。

オイタをしていた若い頃はおまわりさんを見ると理由も

なくコソコソと逃げ出したものであるが、今は立派な?

社会人。

叩けばホコリが出るどころか、逆さに振っても鼻血も

出ないのであった。やれやれである…。

はて、ありきたりの事務机の向こうに定年間近の

おまわりさんがひとりぽつねんと座っていた。

大ぶりの老眼鏡を上げつつ「どうしました?」

「ええ。2~3日前から咳が続きまして。熱も出始め…。」

おい。違うよ。moukun。それは病院。

かいつまんで事情を話すと住宅地図を広げて虫眼鏡で

真剣に探してくれた。

「この近くにも店はあるけど…ここなら間違いないです。」

ご丁寧に観光用の地図まで頂き、道順まで詳細に

教えてくださった。

日本のおまわりさんを舐めてはいけないのである!

御礼を言って交番を出ると、教わったとおり商店街の

近くのパーキングにトラックを置き、H氏と並んで目的

のお店「ロンドン屋」を探す。

「あった!ここや…。のれん…。無いけど。」

しばらく泳いだ目が「水曜日定休」の文字に止まる。

日本のおまわりさんは時々あてにならないものである。

「んふっ!ど~するんだよぉえぇっ?今泉くんっ!」

咄嗟に田村正和化した私は人差し指と中指を額にあて

思案に暮れたあげく、急遽、地元の人を探すことに。

あたりを窺がうと工事現場の交通整理をしている男性を

発見。

かくかくしかじかと事情を述べると「このあたりは水曜日は

休みなんですよ。」とにべもなく答える。

相手をしていてもためにならない人物と知るや、非情な私

は、お礼の挨拶だけは投げつけてその場をあとにする。

だんだんと意地になってきて、「ちゃんぽんは何処ぢゃ!」

と、こめかみに漫画のようなマークが入った私の背後から

声がかかる。

「丸窓が美味しいよ!」

振り返ると先ほどの交通整理の男を押しのけて、丁度、

私の母親くらいの年輩の女性が、やはり交通整理の制服

で、こちらに呼びかける。

「市民病院の近く。丸窓行きなはいや。美味しいぜ。

おばちゃんはいつもそこで食べよる。」

「松山の人じゃけん。場所がわからんがよ。」

静止する男をものともせず「この前も松山の人に教えて

あげたがよ。すぐに解るけん。市民病院の前で丸窓は?

て聞いてみさい。」

「ありがとう。お母さん。」

圧倒的な親切に背中を押されて、哀れ二人は再び放浪

の旅を続ける。

駐車場に戻り、おまわりさんに頂いた地図を眺めると、

その中にしっかりと掲載されていた。

大きすぎる街では想像もできない話であろう。

見えない力に吸引されるがごとく、私達二人は市民病院

の前付近にたどりつく。

「丸窓…丸窓…。」脳裏に反芻しつつハンドルを切って

いると木製の丸い窓が見えた。

赤いパトライトが回転していることから営業中なのは

理解できるが、何処にも屋号の表記が無い。

ただ、「御食事処」と色褪せた暖簾がたなびくのみ。

トラックは市民病院の駐車場に止めて、恐る恐る

引き戸を開けてみた。

「あれ?お客さんが来ちゃったよ?何故だろう?」という

顔色のご主人に、あわてて事情を説明する。

「交通整理のお母さんにここが美味しいよと教えて

もらったんですよ。」

「ああ。それは、それは。」

注文の品が出るまで、所在無くチンピラのように隅々を

見渡す。

天井には黄緑の小振りな扇風機。

壁には手書きのメニュー。

色褪せたデコラ貼りのテーブルといい、全てが合格。

昭和レトロの真髄である。

私の心は懐かしい少年時代へと解き放たれた。

運ばれた「ちゃんぽん」にはすでにコショーがかかる。

私は常々、作っていただいた方の意思を尊重して、

最初の一口だけは調味料をご遠慮するのであるが、

郷に入れば郷に従えである。

「ええい。毒くらわば皿までよ。」と口にしてみたところ、

昔懐かしいおふくろの味のする「ちゃんぽん」であった。

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